ニセコにまつわるアイヌ語

ラフティングツアーでは、尻別川の中でも急流の多い倶知安〜ニセコ区間を下ります。ガイドは急流を安全に突破するため日々操船技術の向上に励むわけですが、スタートからゴールまで絶え間なく急流が続くわけではなく、急流と急流の間には、とろ場と呼ばれる緩やかな流れが存在します。このとろ場で問われるのがガイドの話術。話のネタの一つとして、また、ガイドの基礎知識として、ニセコにまつわるアイヌ語について、少しだけ調べてみました。ちなみに、【アイヌ】は(人間)を意味するアイヌ語です。

ニセコウッカの由来

ウッカ

【ウッカ】って、どういう意味ですか?という質問を、これまで数え切れないくらい頂きました。2009年の開業の際、屋号を決めるにあたって、何かラフティングにちなんだ名前をということで、川に関する言葉を意味するアイヌ語の中から、音感の良いものを選びました。【ウッカ】は日本語の(瀬)、急な流れを意味する言葉です。

ニセコ

町名であるのと同時に近隣の町村を含めたエリアの呼称でもある【ニセコ】は、ニセコアンベツ川:ニセイ(断崖)コ(に対して)アン(ある)ペッ(川)がその由来となっています。現在では、世界でも屈指のスキーフィールドとして有名なニセコアンヌプリですが、アイヌの人々は山よりも川を重んじたようで、ニセコアンベツの水源があるヌプリ(山)ということで、そう呼ばれていたようです。

羊蹄山について

ニセコアンヌプリ同様、羊蹄山も真狩川:マッ(後ろ)カリ(をまわる)ペッ(川)の水源があるヌプリ(山)ということで、アイヌの人々は羊蹄山をマッカリヌプリと呼んでいました。近くにそびえる尻別岳との対象で羊蹄山を雌山:マチ(女)ネ(のような)シリ(ヤマ)雌山、尻別岳を雄山:ピン(男)ネ(のような)シリ(山)とうかがったことがあり、なぜ高い方が女のようなのかと疑問を抱いたものですが、どうやら、姿の良い方を女のようなと表現したようです。その後、日本書紀の記述に基づき後方羊蹄(しりべし)と名付けられたものの、読み方が難解なため、羊蹄山に変更されました。標高1898mは北海道で21番目、蝦夷富士と呼ばれてはいるものの、特別高いというわけでもないのですね。活動度の低いランクCの活火山です。ちなみに、現在、休火山や死火山という言葉は廃止され、過去1万年の間に火山活動のあった火山は全て活火山とされ、過去の活動度に応じA〜Cにランク分けされています。

ニセコウッカの所在地倶知安

ニセコウッカのベースがある倶知安町の由来は、実ははっきりしていません。町内を流れる川、倶登山:クト(崖)サン(から流れ出る)がそのまま由来となっているというのが有力な説のようです。